第4章

和也視点

勝利の味は、想像していたほど甘美なものではなかった。

オーシャンビューのアパートに戻ると、梨乃は興奮した様子ですぐに俺の腕に飛び込んできた。

「和也! 勝ったわ! 本当に勝ったのよ!」彼女は爪先立ちで俺にキスをする。「今夜はお祝いよ! シャンパンを注文したし、それに……」

俺は本能的に彼女を突き放した。

「和也……?」梨乃は戸惑ったように俺を見つめ、その瞳に傷ついた色がよぎる。「どうしたの? お祝いしなくちゃ」

俺は床から天井まである窓辺へ歩み寄り、海に沈む夕日を眺めた。崖に打ち付ける波が、単調な音を立てている。

「もちろん、祝うさ」無理に笑みを作って、俺は振...

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